この記事の結論

  • 結論パソコン本体をどう手放すかより、内蔵ストレージのデータをどう処理したかのほうが重要です
  • 法人事業活動で使った機器は処理の記録が問われる。台帳との突合と証跡がいります
  • 個人メーカー回収・自治体回収・量販店・専門業者の4択。専門業者以外はデータを自分で消す前提
  • 初期化OSの初期化はデータの実体を残すことがあり、それだけでは消えたことにならない
  • 再利用しない売らない・譲らないなら、物理破壊が有力な選択肢です

パソコンを処分するとき、多くの方が迷うのは「どこに出すか」よりも「中のデータはどうなるのか」です。回収してくれる先はいくつもありますが、データを読み出せない状態にする作業まで含んでいる仕組みはほとんどありません。つまり、処分の窓口を決めるだけでは話が終わらず、ストレージの中身を誰がどう処理するかを別に決める必要があります。

この記事は、パソコンを手放す前の判断材料をまとめたものです。料金の詳細・依頼の手順・証明書の記載仕様といった実務は、パソコンの内蔵HDD・SSDの物理破壊(本体は買取)のページに整理しています。詳しくはそちらをご覧ください。まずは、自分のケースが法人と個人のどちらの進め方に当てはまるかを見極めてください。ハードディスク(HDD)の処分だけを切り離して考えたい場合は、HDDの処分方法5つの比較もあわせてご覧ください。

パソコンを処分する前に確認すること

処分の方法を選ぶ前に、確認しておくと後戻りしなくて済む項目が3つあります。ストレージの種類、データが残っている場所、そして自分が法人と個人のどちらの立場で出すのか、です。

内蔵ストレージの種類(HDD/SSD/eMMC)

パソコンに入っている記憶装置は、大きく3種類に分かれます。HDDは円盤(プラッタ/プラッター)に磁気で記録する方式で、デスクトップや2020年前後までのノートパソコンに多く使われています。SSDはフラッシュメモリに記録する方式で、2.5インチのSATA型と、基板に挿す細長いM.2型(NVMe接続を含む)があります。eMMCは低価格帯のノートパソコンやタブレット型端末に多く、基板に直接実装されていて取り外せないのが特徴です。

この違いは処分の選択肢に直結します。HDDと2.5インチSSDは取り外して単体で処理でき、M.2 SSDも取り外せる機種が多い一方、eMMCなど基板に直付けされたものは取り外せず、基板ごと処理するしかありません。法人のお客様は、パソコン本体のまま、作業当日に当社が内蔵ドライブを取り出す分解・取り出し作業(¥550/台・税込)からご依頼いただけます。ノートパソコン・デスクトップPCから記憶媒体を取り外す場合は、取り外し作業で本体が破損することを前提としているため、パソコン本体はお戻しできません。パソコン本体と破壊後の記憶媒体は、あわせて当社で買い取ります。ただし、記憶媒体が基板に直付けされ取り外せない機種(ノート・2in1を含む)には対応しておりません。媒体ごとの違いは内蔵HDDの破壊対応とSSD・M.2・NVMeの破壊対応で詳しく整理しています。

データが残る場所 — OSの初期化では消えない範囲

「初期化したから大丈夫」と考えられがちですが、一般的なOSの初期化やフォーマットは、ファイルの置き場所を示す管理情報を消しているだけで、記録面のデータそのものは書き換えられずに残ることがあります。市販の復元ソフトを使うと、削除したはずの写真・書類・メールが読み出されるのはこのためです。

加えて、見落とされやすい保存先がいくつもあります。ブラウザに保存したパスワード、メールソフトのローカルデータ、業務ソフトのキャッシュ、リカバリー領域、クラウドと同期していたローカルフォルダ、そして外付けHDDやSDカードを挿したままの状態です。本体を処分するときは、接続していた周辺媒体も同時に棚卸しすると漏れが減ります。初期化と物理破壊の違いはデータ消去と物理破壊の違い、上書き消去の限界はデータ消去ソフトの限界で解説しています。

法人と個人で異なる扱い

同じ1台のパソコンでも、家庭で使ったものか事業で使ったものかで、利用できる回収の窓口が変わります。家庭で使ったパソコンには、メーカーによる回収・再資源化や自治体の小型家電リサイクルといった家庭向けの仕組みがあります。一方、事業で使ったPCは、家庭向けの回収の対象外とされることがあります。

この違いを知らずに事業用のパソコンを自治体の回収ボックスに入れてしまうと、受け入れの対象外になるだけでなく、処分の記録も残りません。まずは自分がどちらの立場かをはっきりさせてから、次の章に進んでください。

法人のパソコン処分記録を残す考え方

法人のパソコン処分は「安く引き取ってくれる先を探す」作業ではなく、処理が適正に行われたことを後から説明できる状態をつくる作業です。監査や取引先の審査で問われるのは、費用ではなく記録の有無です。

IT資産管理台帳との突合

台数がまとまるほど効いてくるのが、台帳と現物のシリアル番号を突き合わせる工程です。IT資産管理台帳に載っている資産番号・機種・シリアル番号と、実際に回収した機体、そして破壊後に発行される証明書の記載が3点で一致していれば、「この資産は確かにこの日に処理された」と示せます。逆に、台帳から消えているのに現物の行き先が分からない機体が1台でもあると、監査では説明が止まります。

当社が発行する記憶装置物理破壊完了証明書は、媒体ごとのシリアル番号・破壊方式・作業日時を記載し、一覧形式(最大20台/枚・1件一律¥2,200・税込)で標準発行して後日お渡しします(PDFが標準)。写真付き証明書(1台1枚¥550・税込)はご希望に応じて追加できます(任意)。証明書の詳細は破壊完了証明書の発行をご覧ください。

リース機の扱い

リース契約中のパソコンは所有権がリース会社にあり、原則として返却が必要です。そのため、本体を勝手に処分することはできません。内蔵ストレージのデータの扱いを含め、返却前の取り扱いは着手前にリース会社へ確認することが欠かせません。なお、当社ではリース品(所有権がリース会社にある機器)の破壊・買取は行えません。リース会社にご相談ください。

社内の稟議や委託先審査に必要な観点は法人・オフィスのお客様にまとめています。大量の入替や拠点の移転・閉鎖を伴う場合の考え方は特集(大量処分・情報漏えい対策・急ぎの対応)もご参照ください。

個人のパソコン処分 — 4つの選択肢

個人が家庭のパソコンを手放す場合、現実的な選択肢は次の4つです。共通しているのは、どの手段でもデータは自分で処理してから出すのが前提だという点です。

メーカー回収(PCリサイクルマーク)

家庭で使われた個人所有のパソコンは、法律に基づいてメーカーが回収・再資源化する仕組みが設けられています。PCリサイクルマークが貼られている製品は、購入時に回収・再資源化の費用が含まれているため、回収時に追加の料金はかからない扱いです。マークのない製品は、回収時に料金が必要になる場合があります。申し込み方法・対象範囲・梱包の要件は各メーカーの案内に従ってください。

この仕組みは資源として再利用することが目的で、データ消去は含まれていないのが通例です。送る前に自分で消去または破壊しておく必要があります。

自治体の小型家電リサイクル

市区町村が設置している小型家電の回収ボックスや拠点回収を利用する方法です。対象品目・回収方式・投入口のサイズは自治体ごとに大きく異なり、ノートパソコンは受け入れるがデスクトップは対象外、といった線引きがあることもあります。お住まいの自治体の案内を必ず確認してください。

こちらも再資源化を目的とした仕組みで、投入した時点でどの機体をいつ手放したかという記録は残りません。事業活動で出たパソコンは対象外とされているのが一般的です。無料で手放す手段の全体像はHDDの無料処分は安全かで比較しています。

量販店の下取り・回収

家電量販店やパソコン専門店では、買い替えに合わせた下取りや回収を受け付けている場合があります。無償のこともあれば有償のこともあり、条件は店舗・時期によって変わります。買い替えと同時に片付く手軽さが利点です。

一方で、媒体ごとの破壊証明が発行されることはまれで、データ消去はサービス内容に含まれていないか、別料金のオプションになっていることが多くみられます。量販店に頼む場合と専門業者に頼む場合の違いは家電量販店のHDD処分との違いで整理しました。

専門業者への委託

データを読み出せない状態にすることそのものを依頼する方法です。専用機による物理破壊などを行い、媒体ごとの記録を記載した証明書を発行する業者もあります。個人からの依頼を受け付けているか、料金や作業場所などの条件は業者によって異なるため、依頼前に確認してください。

なお、当社のサービスは法人・団体・官公庁のお客様専用です。個人のお客様からのご依頼は承っておりません。

処分方法とデータの安全性の比較

ここまでの選択肢を、費用ではなくデータの安全性と記録の残り方という軸で並べ直します。同じ「処分できる」でも、後から説明できるかどうかは大きく違います。

処分の方法費用の目安データ消去の責任主体証明書の有無法人利用の可否向いているケース
自分で初期化してから手放す追加費用なし(手間と時間のみ)本人(消えたかを確かめる手段がない)× なし× 記録が残らず監査で説明できない個人利用で、保存していたのが自分の写真・音楽などに限られる場合
メーカー回収(PCリサイクルマーク)マークのある製品は追加料金なし。マークなしは料金が必要な場合があります手放した本人(送付前に消す前提)× なし× 家庭系の個人所有パソコンが対象個人所有のパソコン本体を制度に沿って手放したい場合
自治体の小型家電リサイクル無料〜有料(自治体により異なります)手放した本人(投入前に消す前提)× なし× 事業活動で出たものは対象外とされることが多い個人利用で、データを消し終えた小型機器
家電量販店の下取り・回収無償の場合と有償の場合があります(店舗・時期により異なります)引き渡す前に自分で消す案内が多い△ 媒体ごとの破壊証明は出ないことが多い△ 品目・台数に条件がある場合があります買い替えと同時にまとめて片付けたい場合
専門業者による物理破壊(内蔵HDD・SSDを取り出して破壊)当社の場合:ノートパソコン・デスクトップPCの分解・取り出し作業 ¥550/台+ドライブの破壊 ¥1,540/台(取り外し済みのHDD・SSD単体は破壊のみ ¥1,540/台。いずれも税込)。1台だけの総額の目安:破壊¥1,540+一覧証明書¥2,200+出張作業費¥8,800=¥12,540(税込・東京23区・お買取り控除前)。パソコン本体なら+取り外し¥550作業者が破壊し、実施内容を記録して発行◎ 媒体ごとの記録を載せた一覧証明書を標準発行(写真付き¥550/枚は任意)◎ 監査・取引先への提出の証跡として使えます法人・官公庁、機密データを扱っていた機体、故障して消せない機体

表のうち上4つは再資源化や販売を目的とした仕組みで、データ処理は目的に含まれていません。「処分したこと」を書面で示す必要があるかどうかが、専門業者に委託するかどうかの分かれ目になります。費用の内訳はHDD・SSD破壊の料金表(1台¥1,540、11台以上は割引)、その場で概算を出したい場合は料金シミュレーターをご利用ください。

初期化・データ消去ソフト・物理破壊の使い分け

データの処理方法は3段階に整理できます。データサニタイズの国際的な整理である NIST SP 800-88(現行版は Rev. 2)では、Clear・Purge・Destroy の3水準に分類されており、物理破壊は Destroy に分類されます(Destroy とみなされるかは破壊の程度によります)。判断の軸は「その機体をこの先も使うかどうか」です。方式そのものの違いは破壊・消去方式の一覧と選び方で比較しています。

再利用する場合(売る・譲る・社内で使い回す)

機体を残して使い続けるなら、破壊するわけにはいきません。この場合はデータ消去ソフトによる上書き消去(NIST SP 800-88 Rev. 2 の Clear に相当)が選択肢になります。ドライブ全体を対象に上書きし、消去結果のログを残せる製品を選ぶのが基本です。ただし、上書きが完了したかを目視で確かめられないため、ログの保存と、実施者・実施日の記録が前提になります。

なお、当社はデータ消去ソフトによる消去作業の受託は行っておらず、解説にとどめています。方式の内容はデータ消去ソフトの解説をご覧ください。

再利用しない場合(廃棄・入替)

売却も譲渡もしないのであれば、記録面そのものを壊してしまうのが最短です。専用機で穿孔・せん断を行えば、機体が起動するかどうかに関係なく処理でき、作業の結果が見た目で分かるという利点があります。当社に委託する場合は、ご希望に応じて作業に立ち会っていただけます(立会いは任意)。仕組みはHDDの物理破壊(穿孔・せん断の仕組み)で解説しています。

SSD・故障機の場合

SSDは、記録の割り当てを内部で入れ替える制御が働くため、外から見えている領域を上書きしても予備領域に古いデータが残る可能性があります。また、磁気を用いるデガウス(磁気破壊)はフラッシュメモリには効きません。SSDは記録チップごと壊す物理破壊が現実的な選択になります。

電源が入らない、OSが起動しないといった故障機も同様です。ソフトを走らせられない以上、取り出して物理的に壊すほかありません。故障機の扱いは壊れて動かないHDDの処分にまとめました。他の解説記事はHDD処分のガイド記事一覧から探せます。

専門業者に委託する場合の進め方

委託すると決めた場合、最初に手元で整理しておくとやり取りが早く済む情報は3つです。①台数と媒体の種類、②設置場所(出張の対応エリア内か)、③写真付き証明書が必要かどうか。この3点が分かれば、金額と日程の見当がつきます。

依頼前に決めておく3点

台数は「10台くらい」「部署のパソコン一式」といった概算で構いません。法人のお客様は、ノートパソコン・デスクトップPCの本体のまま、内蔵ドライブの分解・取り出し作業(¥550/台・税込)からご依頼いただけます(記憶媒体が基板に直付けされ取り外せない機種は対象外です)。所在地については、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の一都三県が出張オンサイト破壊の対応エリアで、東京23区の出張作業費は¥8,800(税込・機材運搬込)、23区外は別途お見積りです。

会社としての受け入れ体制を確認する

委託先を選ぶときは、保有している許可の種類、作業を社内で行うか再委託するか、証明書に何が記載されるか、といった点を確認しておくと社内説明が通りやすくなります。当社の許可の状況・体制は会社概要(許可・監修体制)に記載しています。

ご相談の窓口

当サービスは法人・団体・官公庁のお客様専用です(個人のお客様からのご依頼は承っておりません)。ご相談・お見積りは無料です。お電話 0120-979-467(9:15〜20:30・年中無休)、またはメールフォームの無料相談・お見積り(台数未定でも可)からご連絡ください。パソコン本体の破壊対応の詳細はパソコン本体の破壊・処分、法人としての進め方は法人・オフィスのお客様をあわせてご覧ください。

FAQ

パソコンの処分についてのよくある質問

パソコンを処分するとき、初期化だけで十分ですか?

初期化(リカバリー・工場出荷状態へのリセット)は、多くの場合ファイルの管理情報を消しているだけで、記録面にはデータの実体が残ります。市販の復元ソフトで読み出される場合があるため、機密性の高いデータを扱っていたパソコンでは、消去ソフトによる上書きか、ストレージの物理破壊まで行うことをおすすめします。

パソコンからHDDだけ取り出して処分してもよいですか?

ストレージだけを取り外して破壊し、本体は別のルートで手放す進め方も可能です。ただし取り外しの際に基板や端子を傷つけることがあります。また、M.2 SSDは取り外せる機種が多い一方、eMMCなど基板に直付けされたストレージは取り外せません。こうしたストレージを搭載したパソコンには、当社では対応しておりません。法人のお客様で取り外しに不安がある場合は、作業当日に当社が本体から取り出しを行う方法(分解・取り出し作業 ¥550/台+取り出したドライブの破壊 ¥1,540/台・いずれも税込)をご利用ください。

起動しないパソコンでもデータ消去はできますか?

電源が入らない、画面が映らない、OSが立ち上がらないといった状態では、消去ソフトを走らせること自体ができません。この場合はストレージを取り出して物理破壊する方法が現実的です。故障していても記録面が残っている限りデータは読み出される可能性があるため、そのまま回収に出さないようご注意ください。

この記事の監修

この記事の内容は、当社の破壊作業責任者が確認しています。監修を担当する立場と担当領域、監修の範囲は会社概要(監修者・作業責任者)に掲載しています。記載内容についてのお問い合わせも承ります。